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白黒
ここに無気力で自堕落的な世界に生きる男がいる
「救いの手」を差し伸べられた彼は、その手を掴もうとした
それは半ば条件反射的な動きで。のばされた手に反応しただけだった
その手が、人間ではありえないほどに「黒い」事にも気づかなかった
いや、気づいていても気にも留めやしなかっただろう
彼にとって「そんなことはどうでもいい」のだ
世間一般では「絶望」という名で親しまれているその黒い手は
彼にとって確かな「救いの手」だった
差し伸べられたその手は自分を何処でもない場所に
連れて行ってくれるような気がしていた
この手を掴めば、何も考えずに眠れるのだと、そう思っていたのだ
「絶望」は「死」に近いものに思える
ある人によっては実に甘美な「救いの手」だが
ある人によっては実にクソッタレな「錆付いた鎖」だ
引っ張り上げてくれるか
雁字搦めにされるか
彼にとってそれが「救い」なのか「戒め」なのかは解らない
だが彼は手を伸ばした。求めたものを得れるかも知れないと、淡い期待を抱いていたのかもしれない
独りでそこに座ってる。或いは立っていることに、飽きただけだったのかもしれない
それが自分を確かな場所へと導いてくれる救いの手であっても
自分を雁字搦めに縛る戒めであったとしても、よかった
自分がまだ、失うことができるだけの
希望を。持ってるのか、知りたかったのか
だが手を伸ばしたはずなのに、その真っ黒な手は離れていく
気がつくともう片方の手を病的なまでに真っ白な手に掴まれて、引かれていた
連れ去られるように。導かれるように
振り払うことも出来ただろう
拒んで、黒い手を選ぶことも出来ただろう
どちらの手も拒む事だって出来ただろう
だが彼はそれをしようとはしなかった
表情を微かに動かしただけで、そんな素振りは欠片も見せはしなかった
だからといってされるがまま・・・でもなく
いつの間にか黒い手に背を向けて、白い手を自ら握り返していた
連れて行かれた場所は「あそこ」からそう離れてるわけでもなかった
ただ「そこ」ではもう暗闇の中で判別がつかないほど黒かった手は
その気配を感じることも出来なかった
大して何が変わったわけでもなかった
いつも通り無気力で自堕落的な日々・・・だけど
人は言う。その選択は間違いだったと
ある者は黒い手を選べばよかったんだと嘲笑い
ある者はどちらも拒み、自ら道を選ぶべきなのにと呆れた
だけど彼は何かが。彼にも理解し得ない「何か」が変わったことを感じていた
そしてその変化は自分では創り出すことの出来ないものなのだと感じていた
だからこそ、その選択は正しかったのだと確信している
ほんの少しの、満足感を得た「彼」は。そう確信している
信じて 疑うことはない
「救いの手」を差し伸べられた彼は、その手を掴もうとした
それは半ば条件反射的な動きで。のばされた手に反応しただけだった
その手が、人間ではありえないほどに「黒い」事にも気づかなかった
いや、気づいていても気にも留めやしなかっただろう
彼にとって「そんなことはどうでもいい」のだ
世間一般では「絶望」という名で親しまれているその黒い手は
彼にとって確かな「救いの手」だった
差し伸べられたその手は自分を何処でもない場所に
連れて行ってくれるような気がしていた
この手を掴めば、何も考えずに眠れるのだと、そう思っていたのだ
「絶望」は「死」に近いものに思える
ある人によっては実に甘美な「救いの手」だが
ある人によっては実にクソッタレな「錆付いた鎖」だ
引っ張り上げてくれるか
雁字搦めにされるか
彼にとってそれが「救い」なのか「戒め」なのかは解らない
だが彼は手を伸ばした。求めたものを得れるかも知れないと、淡い期待を抱いていたのかもしれない
独りでそこに座ってる。或いは立っていることに、飽きただけだったのかもしれない
それが自分を確かな場所へと導いてくれる救いの手であっても
自分を雁字搦めに縛る戒めであったとしても、よかった
自分がまだ、失うことができるだけの
希望を。持ってるのか、知りたかったのか
だが手を伸ばしたはずなのに、その真っ黒な手は離れていく
気がつくともう片方の手を病的なまでに真っ白な手に掴まれて、引かれていた
連れ去られるように。導かれるように
振り払うことも出来ただろう
拒んで、黒い手を選ぶことも出来ただろう
どちらの手も拒む事だって出来ただろう
だが彼はそれをしようとはしなかった
表情を微かに動かしただけで、そんな素振りは欠片も見せはしなかった
だからといってされるがまま・・・でもなく
いつの間にか黒い手に背を向けて、白い手を自ら握り返していた
連れて行かれた場所は「あそこ」からそう離れてるわけでもなかった
ただ「そこ」ではもう暗闇の中で判別がつかないほど黒かった手は
その気配を感じることも出来なかった
大して何が変わったわけでもなかった
いつも通り無気力で自堕落的な日々・・・だけど
人は言う。その選択は間違いだったと
ある者は黒い手を選べばよかったんだと嘲笑い
ある者はどちらも拒み、自ら道を選ぶべきなのにと呆れた
だけど彼は何かが。彼にも理解し得ない「何か」が変わったことを感じていた
そしてその変化は自分では創り出すことの出来ないものなのだと感じていた
だからこそ、その選択は正しかったのだと確信している
ほんの少しの、満足感を得た「彼」は。そう確信している
信じて 疑うことはない
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